【ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド】自然の息吹を感じる傑作オープンワールド

環境音とBGM

ゼルダの伝説のBGMといえば「あのメロディー」というのが思い浮かぶだろう。BGMはゲームの重要な要素の一つであり、作品のイメージと深く結びついていると言える。このゲームのサウンドは、そういったゲームBGMの常識からは外れながら、挑戦的な要素も盛り込んでいる。

初めてフィールドに立つと、その静けさと、風の音や鳥の鳴き声などの環境音が強く印象づけられる。自然の中にはこういった音が満ちているということを感じさせてくれる。メインの音は環境音であって、BGMは環境音と溶け合う程度に抑えられている。

村や街のBGMはそれぞれ特徴的な音を用いている。カカリコ村の篠笛、ゴロンシティのトロンボーン、リト族の村のクラリネットなど、音を聞くだけで村の情景が浮かぶ。ファミコン、スーファミなど音源に制約があった時代とは異なり、何でも使える時代だから可能な音楽であり、無数の楽器の中からの音選びに重点を置いたのだろうと思われる。

英傑ミファーのテーマでは、ミとファの音を特徴的に用いた主旋律が奏でられる。ムービー中の重要なシーンで一風変わったメロディが流れるので、注意深く聞いてみて欲しい。イチカラ村のBGMは、住人が増えるたびにそれぞれの種族を象徴する音が足される。BGMの中で展開される遊び心も面白い。

環境音を際立たせるために一歩引き、ハーモニーやリズムの上に印象的なメロディーを乗せるというゲームBGMの常識からは離れつつも、独自の遊びをBGMの中に盛り込んでおり、新しい時代のゼルダの伝説としての魅力の一端を成している。

感覚を組み込んだゲームシステム

このゲームには気温が存在し、暑すぎたり寒すぎたりするとダメージを受けてしまう。火山に行けば燃えてしまうし、雪山に行けば凍えてしまうため、それぞれ適した防具に着替えたり、料理や薬品を使ったりして防がなければならない。移動したら着替えなければならないことを手間だと感じるよりも、そういう気候の土地に来たんだという認識に役立っている。これは、ゲーム全体が気候を感じる演出を成し、そこにプレイヤーを引き込む力があるからだろう。溶岩の光や、辺りを舞う火の粉、一面の雪などの気候の演出の一部として気温のシステムが機能しており、ゲームの進行を考慮すれば、新しい土地に足を踏み入れた時の未知の気候というのも冒険を面白くしてくれる要素と言えるだろう。

また、このゲームには時間の概念が存在する。夜は暗くなるだけでなく、村人や敵の行動が変化する。砂漠では急激に気温が下がるなど、実際の気候を再現している。

自然を味わう料理

道中で手に入れた果物や魚などを調理して、料理を作ることができる。料理は体力が回復するほか、がんばりゲージ回復、耐寒、耐暑、攻撃力UP、防御力UPなど、素材に応じて特殊効果が追加される。

木にりんごがなっていたり、池に魚がいたりと、フィールド上に料理の素材が溢れている。これにより、オープンワールドの世界の密度が格段に上がり、隈なく散策する楽しみも作り出している。本作のテーマである「ワイルド」を、文字通り味わう感覚を与えてくれる。

多彩なアクション

リンクが攻撃に使用するのは、剣や槍などの武器と弓矢の2種類である。武器による攻撃の種類も、通常攻撃、溜め攻撃、ジャンプ攻撃がある他、敵の攻撃を避けた直後に反撃するラッシュや、盾で攻撃を弾くといった特殊アクションもある。また、しゃがんで敵に気付かれないように近づき、ふいうちで倒すといったステルスアクションとしてプレイすることもできる。

基本アクションの他に、シーカーストーンのアイテムを使ったアクションがある。任意のタイミングで起爆が可能な「リモコンバクダン」、金属製の物をつかんで自由に動かすことができる「マグネキャッチ」、物体の時間を止めて動く力を貯める「ビタロック」、水面に氷柱を作り出す「アイスメーカー」と、写真を撮る「ウツシエ」である。

リモコンバクダンの爆風を利用して遠くに飛ぶウィンドボムという高等テクニックも存在する。やり方は、段差のあるところに立ち、盾を構えたまま前にジャンプし、四角バクダンを出して弓を構え、丸バクダンを出して四角バクダンを起爆する、というものだ。塔からウィンドボムで飛べば、かなりの距離を移動できる。他にもBtBなどのテクニックがあり、体得すればプレイの幅が広がるだろう。

アクションの数が多いことで、敵の倒し方も自由度が高くなっている。先に挙げた攻撃方法のほか、水に落としたり、燃やしたり、箱をぶつけたり、様々な攻略が考えられる。

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