【ファイナルファンタジーVII】挑戦に満ちた名作RPG【ネタバレあり】

『ファイナルファンタジーVII』は、スクウェア(現スクウェア・エニックス)が1997年1月31日に発売したRPGである。1987年に発売された『ファイナルファンタジー』のナンバリングタイトル7作目であり、シリーズ初のプレイステーション専用タイトルである。発売3日間で200万本以上を売り上げ、総出荷本数は328万本に達した。同年10月2日に、アメリカ版の追加要素を逆移植した『ファイナルファンタジーVII インターナショナル』が発売され、後にPS one Books、アルティメットヒッツ、ゲームアーカイブスとして再販された。プレイステーション版の国内累計販売本数は400万本を達成している。2012年に欧米で発売されたWindows用の日本語版として、『ファイナルファンタジーVII インターナショナル for PC』が2013年5月16日に発売され、これを元にしたプレイステーション4版が2015年12月6日にリリースされた他、iOS版、Android版、Switch版、Xbox One版が配信されている。

ストーリー序盤

巨大企業「神羅カンパニー」が運営する魔晄都市「ミッドガル」から物語が始まる。元ソルジャーのクラウドは、レジスタンス組織「アバランチ」に協力し、壱番魔晄炉を爆破する。「魔晄」とは、星が持つ生命エネルギーであり、それを吸い上げて人々は豊かな生活を送っている。しかし、魔晄を吸い上げ続けると、やがて星の命が失われてしまう。これを阻止するため、クラウドは神羅カンパニーに立ち向かい、その途中でセフィロスに会う。「約束の地」を求めるセフィロスと、それを追う神羅。クラウドと仲間たちはセフィロスの影を追う旅に出る。

新ハードで実現した進化

ファイナルファンタジー4から6まではスーパーファミコン用ソフトとして開発されてきたが、今作からはプレイステーション用ソフトとなり、3Dグラフィックを中心とした大幅な進化を遂げ、新たなファイナルファンタジーの金字塔となった。これまでの2Dドットから3Dポリゴンを用いたグラフィックに主軸を移し、要所に挿入されたムービーは新しい時代の到来を感じさせた。シリーズ初のプレイステーション版タイトルでありながらCD-ROM3枚(インターナショナル版は4枚)という容量の大きさだけでも、ハードの性能に対する挑戦の規模の大きさが窺える。

オープニングムービーからクラウドの登場、そして初の戦闘と、最序盤にその進化を存分に味わうことができ、シリーズファンを熱狂させた。これまでドットで描かれていた表現は3DCGに替わり、その自由度の高さと精細さ、そして規模の大きさが目を引く。ミッドガル、神羅ビルの全体像から、列車、クラウドへとズームしていき、プレイヤーはクラウドを操作する。これがCGで描かれた広大な世界の中でゲームをプレイしているという感覚を与えてくれる。そして操作キャラも3Dで、立体的に動くことができる。2Dでマス目を移動していた時代と比較すると目を見張る進化だ。戦闘に入ると画面が切り替わり、こちらも立体的な画面の中で進行していく。攻撃モーションのほか、立体的なカメラワークと勝利演出も、ファイナルファンタジーの世界の解像度を大きく上げた。ゲーム開始から数分間にこれだけの魅力を詰め込んだことで、プレイヤーに非常に大きな感動を与えた。

グラフィックに限らず、カスタム性の高いゲームシステムや、スノーボード、チョコボレーシングといったミニゲームなど、随所にハードの進化を感じられる。

名作に求められるトータルバランス

本作がファイナルファンタジーシリーズにおいてとりわけ高く評価されている理由は、そのバランスの良さにあるのではないだろうか。グラフィックだけでなく、ストーリー、戦闘システム、BGM、ミニゲームと、主な要素は全て名作として求められる水準を超えており、欠けている要素がない。このバランスの良さが各要素の相互作用を生み、幅広いファンの支持を得ている。ストーリーが好きな人、戦闘システムが好きな人、キャラクターが好きな人というように、各要素を好むファンが集まった結果である。逆に欠点がある場合には、〇〇が苦手だから嫌いという層が離れていってしまう。これが、欠点がなく全てが高い次元でまとまっていることの重要性である。

次いで、ライト層からヘビーなファンまで楽しめる間口の広さと奥深さがあるというのも重要である。ストーリーの知識が浅くても十分に楽しめるし、細かい情報を知ろうと思えば深く楽しめる。これは、神羅やセフィロスを敵とする大まかな構造と動機付けと、序盤曖昧だったものが後半に行くにつれて明瞭になっていくという方向性によると考えられる。何が倒すべき対象なのかというのは序盤に示されるのだが、なぜ敵対するのかといった細かい部分は曖昧なまま進む。キャラクター自身が理解していなかったり、なぜ曖昧だったのかという理由までのちに明かされることで、プレイヤーにも納得感を与えている。なんとなく進めていくというだけでもストーリーは追えるし、その背景にある情報まで丁寧に探っていけば、より深く知ることができる。

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