【Stray】ネコが旅するサイバーパンク【ネタバレあり】

『Stray』はフランス南部にあるBlueTwelve Studioが開発したアドベンチャーゲーム。対応プラットフォームはPS5、PS4、Steam。発売日はPS版が2022年7月19日、Steam版が2022年7月20日。PS版は発売日2022年7月19日、価格は3,520円で、PlayStation Plusエクストラに加入していれば定額サービス対象となっている。Steam版はリリース日が2022年7月20日、価格は3,500円となっており、別売りのサウンドトラックとのバンドル版もある。

家族からはぐれて迷子になってしまった猫が、荒廃したサイバーシティを彷徨い、大昔の謎を解き明かしつつ脱出を試みる。ネオンライトで照らされた路地や汚染された都市の暗部を駆け巡り、奇妙なアンドロイドと危険な生物が住むこの土地の謎を解き明かしていく。プレイヤーは猫の目を通して世界を見て、世界と戯れ合う。静かに素早く駆け回り、時には謎めいた世界の住民を悩ませる。B-12という小さな飛行ドローンと出会い、アウトサイドへの道を探る。

ネコ視点とB-12

このゲームの最大の特徴点は、猫を操作し、猫の視点でプレイするという点だ。人間がいなくなり、ロボットだけが住む世界で、第三者である猫が主人公になっている。

爪研ぎをしたり、棚にあるものを落としたり、小さな穴を通ったり、パイプの上を歩いたりと、猫ならではのアクションがゲームの幅を広げてくれる。人間の大きさでは行けないところも猫なら行けるというだけでなく、猫の仕草やイタズラがプレイヤーを和ませてくれる。人間ではない何かを動かす、特に猫を動かしてゲームをするという発想の斬新さと、猫主体で組み上げられたゲームの世界が魅力的に演出できていることに驚かされる。

途中からB-12というドローンが共に旅することになり、ロボットの言葉を翻訳してくれたり、代わりにアイテムを使用してくれたり、どこに行けば良いかナビゲーションをしてくれたりする。人間が消えた世界であるから人間ではなく、さらにこの世界を知らない特異な存在として猫は格好である。ゲームの世界を知らないキャラクターが主人公として冒険することで、プレイヤーがゲームの世界を理解するのを補助してくれる。そして、猫がサイバーシティの世界に触れたり話しかけたりといったアクションをB-12がサポートし、猫とロボットの世界を繋いでくれる。猫とB-12がプレイヤーとゲームの世界の接点を取り持っているのだ。

B-12がいない序盤は特に目的設定はなく進行するが、街にあるネオンサインが行く先を示してくれる。暗く見通しが悪いフィールドでも、進行方向がわかりやすいよう工夫されている。ビルがたくさんあったり、高低差があり目的地が見えなくても、なんとなく進んでいくことで目的地に着く仕組みになっている。構造的に単純過ぎれば一本道、複雑すぎて見通しが悪ければ行先不明となってしまうが、その間のバランスを上手く取っている。

グラフィックと音楽

スラムやミッドタウンの街並み、壁に描かれたグラフィティや音楽など、この世界を彩るアートにも注目してほしい。様々な文化が混ざり合って作られた未来像はなかなか見応えがあり、流れてくるBGMも洗練されている。街中に溢れる落書きや音楽は、人間たちを真似たロボットたちが作り上げた文化であり、人間の文化すら消え果てた未来の先に何があるかという想像を掻き立ててくれる。

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