【Inscryption】意表を突く不思議なカードゲーム【ネタバレあり】

Inscryptionとは

『Inscryption』は、カナダのインディーデベロッパーであるDaniel Mullins Gamesが開発したローグライトデッキ構築型カードゲームである。2021年の10月19日にDevolver Digitalから発売された。対応OSはWindowsで、Steam等のプラットフォームで販売されている。意外性のある展開でプレイヤーを翻弄するゲームであるため、初見で楽しみたいという人はこのページ以降を読まずにプレイすることをおすすめする。

一人の挑戦者

このゲームはコンティニューを選択するところから始まり、プレイヤーは新たな「挑戦者」であると告げられる。暗い部屋の中で謎の人物「レシー」と机を挟んでカードゲームをする。記憶を失ったプレイヤーにレシーはルールを説明しながらゲームを進めていくが、かつてこのカードゲームをプレイしたことがあったのだろうか…。

レトロ風3Dグラフィック

暗い雰囲気の部屋にどこか禍々しさを感じる3Dのオブジェクト。そしてUIやカードゲームはモノクロのドット絵。どこか不釣り合いなこの組み合わせは、不気味な雰囲気を漂わせつつレトロな風味も感じさせる。公式サイトは旧式のパソコンに映し出されている演出を施しており、作り上げた世界観にこだわりを感じる。

シンプルなカードゲーム

このゲームの核となる部分は、ローグライクにデッキを構築していくカードゲームである。カードゲーム自体は非常にシンプルで、各カードに攻撃力と体力が書かれており、強力なカードは生贄などのコストが必要になる。カードを場に出すと、自分のターンの最後に対峙するカードに攻撃することができる。対峙するカードがない場合は、相手プレイヤーに直接攻撃し、ダメージの差分が一定数に達したら勝利または敗北となる。カードゲーム初心者でもゲームを進めていく中で簡単に体得できるシンプルなルールだ。

試行錯誤

カードに描かれている「印」は特殊能力を示している。印の効果はゲーム内の説明をいつでも参照することができ、どの印が強くて、それをどう使っていけば良いかがは直感的に理解できるようになっている。強そうだと感じたカードを手にしてみて、それを実戦で使ってみてフィードバックを得る、というサイクルが気軽に行えて、その種類も豊富だ。印を複数持たせることも可能で、組み合わせ次第でゲームの展開は無限に広がる。

ルール追加

最初は何もわからないところから始まり、ひとつずつルールが足されていく。全てのルールを一度に説明すると冗長になってしまうが、この過程に従ってゲームが展開していくため、初めてプレイする人にも非常に理解しやすい形になっている。そしてゲームのルールが足されていくことで、Inscryptionの世界が段々と広がっていく。

説明の方法にも工夫を凝らしている。通常なら、ロウソクがライフを表すと文字で説明して済ませそうなところを、負けイベントを用意し、席を立ち燭台を取って来させる。プレイヤーの思考を操りながら、敗北してルールを学習する機会を与えている。

カードゲームはルールの積み重ねが物を言うゲームであるが、一段一段をプレイヤーの思考に沿って追加、説明していく丁寧な作りがその重苦しさを感じさせない。初心者に優しいだけでなく、次に追加されるルールを期待させてくれる点も大きい。

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