『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、2017年3月3日に発売されたオープンワールドアクションアドベンチャーゲームである。対応ハードはSwitchとWii U、価格は通常版で税込7,678円。追加ダウンロードコンテンツを含むエキスパンション・パスセットも販売されている。Golden Joystick Awards、The Game Awards、D.I.C.E Awards、Game Developers Choice Awardsの4大ゲーム・オブ・ザ・イヤーを制覇し、日本でもファミ通アワードのゲーム・オブ・ザ・イヤーに輝いた。販売本数は2021年12月末時点で全世界累計2580万本を記録している。
本作は1986年に発売された『ゼルダの伝説』のシリーズ作品であり、過去作と異なる時系列のストーリーが展開される。リンク、ゼルダ姫などの登場人物や、ゾーラ族、ゴロン族など、種族や世界観は過去作の要素を引き継いでいる。アクションや謎解きなどのゼルダらしさを継承しつつも、オープンワールドゲームとして高い自由度を実現している。
ストーリー
ハイラル王国は太古の昔から厄災ガノンとの戦いを繰り返し、その度に、退魔の剣を持つ勇者と、聖なる力を持つ姫が立ち向かった。1万年前、ガーディアンと4体の神獣の力でガノンに勝利し、姫はガノンを封印した。そして100年前、予言されていたガノン復活に備え、ゼルダ姫はリンクを騎士として任命し、4人の英傑に神獣を操縦させた。しかし、復活したガノンによってハイラル王国は成す術なく滅亡してしまい、かろうじて生き残ったリンクは回生の祠で傷を癒すために眠りについた。100年の時が流れ、リンクは眠りから覚めるも、記憶を失っていた。100年前のゼルダ姫や仲間達との記憶を取り戻しつつ、厄災ガノン討伐を目指して旅をする。
見渡す限りの広大なフィールド
ゲーム開始直後、回生の祠から出た時に高台から望む風景は息を呑むほどに美しく、このゲームの最大の魅力を真っ先に感じることができる。そして、もやがかかった先の山も森も、見渡す限りに続く景色のほぼ全てを探検できるというのも、このゲームの規模の大きさを物語っている。その広大な土地には、祠、敵の集団、果物や虫などの素材と、プレイヤーを楽しませる仕掛けが程よく配置されている。
システム面でもゲーム内の広大な空間を生かしており、プレイヤーの空間感覚を刺激するアクションが用意されている。ゲームの最序盤に出るミッションに従って進むと塔が出現し、ここでプレイヤーは「高さ」を感じる。つまり、縦方向の空間の広さを感じると同時に、落ちたらダメージを受けてしまうかもしれないという危険を感じる。だが、ゲームを進めていくうちにパラセールを獲得し、落下の危険性は減る。また、見晴らしの良い場所から感じる「遠さ」は、山の向こうに何かを発見することができるが、小さすぎてよく見えないという状況も生んでしまう。そこで、望遠鏡を覗くと拡大することができ、さらにマーキングまで出来る。遠くの目的地まで歩いて行くには時間がかかる場合も、ワープや馬を使って移動の時間を短縮することができる。このように、広闊なフィールドが生むデメリットも道具を使って乗り越え、プレイヤーはそのメリットだけを享受し、プレイ空間を縦横に広げていく。
ハイリア人、ゲルド族などの種族や、ボコブリン、などの敵は、ゼルダの伝説の世界の生き物であるが、その他に鳥、猪、狼などの現実に存在する野生動物も出現する。プレイヤーが持つ自然のイメージと、ゼルダの伝説の世界が上手く調和し、「ブレス オブ ザ ワイルド」を作り出している。