【Stray】ネコが旅するサイバーパンク【ネタバレあり】

ZURKと監視ドローン

ZURKはゴミを処理するために開発されたバクテリアが突然変異を起こしたものであり、金属をも食べる獰猛な生物である。見た目はモルモットのようであり、初めて見るときにはZURKのほうが逃げ出すなど、ただの小動物かと思わせる。しかし、ZURKに集団で襲われてスラムへ逃げ込み、ZURKを恐れるロボットたちを見ると、一転して恐怖を与える謎の天敵になる。ZURKに追い回されるシーンはなかなか緊迫感があり、途中からは倒しながら進むなど、変化を持たせて飽きさせない工夫も見られる。

後半には監視ドローンを掻い潜って進むステルスアクションもある。比較的単純なものなので、ステルスアクションが苦手という人でもそこまで難しくないだろうと感じた。また、終盤に向けて難易度が段階的に上がっていくところも、緊迫感とクライマックス感を高めることに繋がっている。ストーリーと世界観を楽しむゲームという大筋を損なうことなく、プレイに変化を与えてくれる。

ZURKも監視ドローンも共に脅威となる存在なのだが、ドロイドにとってはZURKは外からの、監視ドローンは内からの脅威である。ZURKは全てのドロイドの敵であるが、見張兵やドローンはロボット社会の中の支配関係で生じた敵対関係である。ドロイドを取り巻く環境は単純な二項対立ではなく、世界観とアクションに関連付けてゲームに落とし込んでいる。

気になる点

ゲームをプレイしていて気になった点についても述べておきたい。まず一つ目はカメラ操作である。構造上カメラがオブジェクトに頻繁に衝突するのだが、その際のカメラの動きや視野の狭さが気になった。また、猫の動きに対するカメラの追従が弱く、移動に集中できないことがよくあった。これらは特に狭い場所では感じるが広い場所では気にならない程度だったため、もっと猫が狭い部屋を探検するのに適した調整にしてほしかった。

次に、テキスト送りと閉じるボタンが異なる点だ。通常のテキスト送りは□ボタン、閉じる際は×ボタンと分かれており、あまり分ける必要性は無かったのではないかと感じた。ゲームの根幹はしっかりと作り込んでいるが、細かい点では荒削りな部分も見られた。

最後に、ボリュームが少ない点だ。大手スタジオが大金を投じて制作したゲームという訳ではないので、その点は念頭に置いておいた方が良いと感じた。ストーリーを進めるだけなら3時間程度で終わってしまうゲームなので、世界観を味わいつつじっくりと進めると、このゲームをより楽しめるだろう。

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