【ファイナルファンタジーVII】挑戦に満ちた名作RPG【ネタバレあり】

ムービー

現在のCG技術からするとかなり古臭いという印象は拭いきれないが、2Dから3Dへの過渡期だったということを考えると、ものすごい挑戦だったということは窺える。通常のキャラクターは粗いポリゴンだが、ムービー中は当時の最新の技術を使って作っている。ムービーが通常よりやや良い程度のグラフィックでは、印象的なシーンも記憶に残らない。ミッドガルの細かいディテールまで作り込んだり、オブジェクトを少なく抑えつつ背景を効果で仕上げたりと、それぞれのシーンの注目ポイントに合わせて工夫を凝らしている。3Dでできることが増えたが、それでも見せるところと見せないところを見極めた上で取捨選択している様子が見られる。

全く異なる制作手法に転換し、前作発売からの期間は3年弱である。ゲームがかなり成熟しきっている上に一本のソフトを長い期間かけて開発する近年からすると、短い期間で脅威の進化を遂げたと言えるのではないだろうか。新たな挑戦をしっかりと成し遂げ、プレイヤーが期待する以上のものを世に送り出した功績は非常に大きい。

このゲームで印象に残ったところを選ぶとすると、多くのプレイヤーはムービーシーンを選ぶのではないだろうか。私はエアリスの死が強く印象に残っており、次いでオープニングのミッドガルの全体像が思い浮かぶ。ストーリー上非常に重要な箇所であり、映像で精細に描くことでより強く印象付けるべきポイントをしっかりと押さえている。ストーリーが骨格を作り、戦闘やミニゲームでメリハリをつける。そして、ムービーがプレイヤーの心を動かすという最も重要な役割を果たしている。

ミニゲーム

今作はミニゲームの豊富で、特にスノーボードはやり込んだ人も多いだろう。話を聞いてダンジョンに行きボスを倒すというサイクルが繰り返されるとマンネリ化してしまう。そこで適度にミニゲームを挟み、違うルールのゲームをすることで息抜きになる。これがゲーム内に組み込まれており、かつプレイヤーが自主的に遊ぶことができるという点が重要だ。それぞれのミニゲームの初回はストーリーに組み込まれているが、後にゴールドソーサーで遊べるようになるものもある。ミニゲームのバリエーションと作り込みはゲームとして必須ではないものの、大作たる所以と言えるだろう。ダンジョンやボス戦だけでなく、ミニゲームもストーリーの節目として印象に残っているのではないだろうか。

王道の構成と王道からの乖離

ここまで新作としての要素を中心に書いてきたが、ファイナルファンタジーシリーズのナンバリングタイトルとして受け継いでいる要素も多い。飛空艇などの移動手段を手に入れて行動範囲が広がっていくのは、初代から存在する。できなかったことができるようになるというのはゲームにおいて非常に重要で、強くなって倒せなかった敵を倒せるようになる、行けなかったところに行けるようになるというのは、プレイヤーに成長している実感を与えてくれる。これが空間的に広がることで、プレイヤーの頭の中にファイナルファンタジーの世界が作り上げられる。ダンジョンマップでは表現できない広さが世界全体に広がっていることを感じさせてくれる。地理的な理解が深まるだけでなく、行き先の選択肢が増えていく。これがファイナルファンタジーの世界地図を形成している。

様々なキャラクターが登場し、各キャラクターが戦う理由を見つけるというのもお決まりだ。それぞれのキャラクターの生い立ちを探っていくことで、異なる国や種族について知り、それぞれの視点で世界を見る。それによって世界が多角的に広がっていくという仕組みだ。キャラクターのバリエーションはゲームの世界を広げるといっていいだろう。

他方で、いわゆる剣と魔法のファンタジーから逸脱した世界観も特徴と言える。シリーズ作品ごとに全く異なる世界を展開し、進化していくのも恒例である。ファンタジーらしくないと言うプレイヤーもいるが、変化こそがファイナルファンタジーらしさなのではないか。型にはまらない世界観こそグラフィックの進化の中で注目された要因であり、次作にどんな世界を見せてくれるかと期待を寄せる部分だろう。

気になった点

今回PS4版をPS5でプレイしたが、いくつか気になった点を挙げる。まず、音声のパンが極端だ。右から聞こえる音は右からしか鳴らないほどに極端で、ヘッドフォンを使ってプレイしているとかなり気になる。ただし、当時のことを考えるとブラウン管のテレビでプレイしていた時代であるから、そこまでしないと臨場感が表現できないという事情があったのは理解できる。リマスターで調整して欲しかったポイントの一つだ。

通常速度でプレイしていると処理落ちを起こすことが多かった。ハードウェア性能は格段に向上しているので、リマスターで快適になるのを期待するのが普通である。倍速で問題なく動くが通常では処理落ちというのは非常に残念だ。また、通常では○押しっぱなしが効くのに倍速では効かないというのも不便に感じた。

まとめ

シリーズ7作目にして3Dになって進化した名作RPGで、ストーリー、グラフィック等どこをとっても名作にふさわしいクオリティである。新ハードと3Dという新しい挑戦を見事に形にし、幅広いプレイヤーが楽しめることで多くのファンを獲得した作品である。

©︎ 1997, 1998, 2015 SQUARE ENIX CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA

  • ファイナルファンタジーVII | SQUARE ENIX
    https://www.jp.square-enix.com/game/detail/ff7/
  • ファイナルファンタジーVII – Wikipedia
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%83%BCVII
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